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お題「陽炎」

2009-05-30 | 00:46

コメントわくわくしてます⇒Please Please

お題「陽炎」



 ゆらゆらと世界が歪む。何の変哲もない、例えば駅のホームとかでも、それを確認することが出来る。別段、特殊な状況なんかじゃない。ただいつものように人が慌しく動いている日常の中で起こることだ。魔法でもなんでもないそれは、現代の科学を持ってすれば簡単に紐解けてしまう。
 陽炎。平たく言ってしまえば気象現象だ。特に夏に見られることが多く、太陽の光が強く風があまりない日であれば、一般の道路であっても見ることが出来る。
 ただ、俺はその陽炎を目にして、自分を疑った。これが外で見かけたのならば特に何も言わない。見つけた陽炎は、自室の端っこに存在したのだ。昔のテレビの画面のように揺れ、時折うねりの大きさが変わった。
 それが本当に陽炎なのかどうか、俺は知らない。ただ、謎の状況に陥った時に、これを表現するのに出てきた言葉が陽炎だったのだ。
 どうしていいかも分からずに、ただそれをじっと見つめていた。そんな自分の状況を見てか、隣の部屋から出てきた弟が俺に怪訝な顔を向けた。
「何してんの?」
「なぁ、あれ何に見える?」
 指で陽炎を示して弟に尋ねる。一度弟がその方向を見ると、怪訝な顔が一変した。
「……壁?」
 呆れるというか、意味の分からないといった様子で弟が言葉を返す。
「いや、そうだけど、あの端一帯さ、なんか揺れてない?」
「……病院行く?」
 もはや心配までされるようになったので、適当なことを言って誤魔化すことにした。このままでは本当に精神病院行きが確定してしまう。
 とりあえずもしかしたら悪い夢か何かを見ているのかもしれない。そう思い、気休めに少し出かけることにした。行き先なんかは決めず、ただの時間潰しだ。
 特に嬉しいハプニングイベントもないまま帰宅し、部屋のドアを開けた。陽炎は見事に消えて――いなかった。
 むしろ大きくなっている。
「……」
 目を擦ってみる。
「……」
 陽炎は消えない。意味が分からなかった。
「そろそろ冷静でいられなくなるぞこんちくしょう」
 精一杯抑えてきたいつもの自分が腰を上げた。こういった嫌な予感しかしない物は触れずに慎重に消えてくれるのを待つことにしていた。だが、どうも謎の陽炎は消えてくれないらしく、しかも俺にしか見えない。正直あれがそのままあそこにあられてはおちおち部屋になどいれない。部屋を出て行けということなのか?
 これ以上ただ巨大化されても困るので、適当に手に取った消しゴムを陽炎の中へと投げ込んでみる。消しゴムは放物線を描き、陽炎の中へともぐりこむ。そしてそのまま消えてしまう。その代わり何かが聞こえた。
 よく聞き取れなかったので、今度は野球ボールを投げ入れてみる。やはり陽炎の中へと潜り込むが、床や壁に当たり、此方に跳ね返ってくる様子ない。
「痛い!」
 そして出来れば触れたくない声が確実に耳に届く。凄くトラブルに巻き込まれている気がする。
「何するんだよ!」
 陽炎の中から小さな男の子が顔を出す。緑色の鍔のない帽子を被った少年はイライラしながら俺に話しかける。この時点で、トラブルに巻き込まれているということが確定した。
「ナニモシテナイ。カエッテクダサイ」
「まったく……気をつけてよね」
「モウシワケナイデス」
 少年は俺が謝ったことで納得したのか、陽炎の中に消えず、むしろ中から出てきた。人の話を聞いてくれる予定は微塵にもないらしい。
「えーとね、ようやく気づいてくれてありがとう。うん、それと、これからよろしくね」
「ヨソモノカエレ」
「何その変な片言。普通に喋ってよ」
「じゃあ言うけど、帰ってください」
「嫌」
「……」
 嫌、じゃない。ここは俺の部屋であって、このガキンチョの所有物ではない。つまりここに居座るという決定権は、ガキンチョにはない、はずなのだ。
「てんぱってるね。状況を勝手に説明すると、しばらくここに隠れていたいんだ」
「ここじゃないとこは?」
「いや、ここにもう陽炎生成しちゃったし」
「……えーと、何処の世界の話?」
「え? とりあえず此処じゃない世界かな」
 やめて欲しい。本当に出来れば消えて欲しい。せっかくの平穏な日常がぶち壊されていく。漫画やアニメでもない、これはまったくのリアルなのだ。第一、こんなガキンチョを部屋に隠していたら、俺は誘拐犯で捕まってしまう。
「ちなみに、勝手に陽炎の中には勝手に入ってこないでね。着替えてたりお風呂は入ってたりするから」
「誰が野郎の裸見て喜ぶんだよ」
「……僕は……」
 ぷるぷると震えるガキンチョ。
「僕は女の子だ!」
 嘘だろ、それは。まな板装備の癖に嘘はいけない。ただ、本人がこのままマジ泣きしかねん勢いなので、なだめることにした。
「わかったわかった。俺が悪かった」
「……ちゃんとレディに対する言葉使いを考えてよね」
 レディという単語が相当不釣合いなガキンチョは、陽炎の中から上半身だけではなく全身を現して部屋の中に転がり込んできた。やはり、まな板である。しかもやたら小さい。俺はロリコンですか? 犯罪者ですか? この世に汚染された脳が勝手に騒いでいた。
「さて、と、説明した方がいいかな?」
「何を?」
「えーと、私がここにいる理由?」
「尺的にどれくらい?」
「三十分は欲しいかな」
「長い。カット」
「ひど!」
 わざとらしくアクションを起こすガキンチョの服は全体が緑で統一されていた。キャスケットとに似たような刺繍入りの帽子。膝より下まであるくらいのシンプルなズボン。上は白いシャツのような物に、深い緑のベストを着ていた。何処に行けば買えるのだろうか、と思うくらい見たことのない服だった。
「じゃあせめて陽炎のお話を」
「気象現象。はい、終わり」
「それはそうだけど! ちゃんと種があるの!」
「聞かないとダメ? もう現実逃避したいんだけど」
「……何言っても聞かない気でしょ?」
「もちろん」
「じゃあ勝手に説明するもん。べ、別にはじめて成功したから誰かに喋りたいとかじゃないんだからね!」
「ツンデレ?」
「知らないよそんな言葉。簡単に言っちゃうと光が世界。風が世界に空いている穴。で、世界をちょっと揺らして、周辺にあいている穴を埋めて、ここに陽炎を作ったの」
「うん、だから?」
「この陽炎は言わば一つ世界。私が作った世界だから、この陽炎の中にどんな世界でも作れる。勿論そんな大きなのは無理だけど」
 某猫型ロボットの道具のような物なのか。
「分かった?」
「分かった」
 当然嘘である。そんな説明で分かったら世界中陽炎だらけである。
「それじゃあ僕はご飯まで中にいるから」
「待て。飯を家で食う気か?」
「え、もちろん」
「無理言うな。本当に俺が警察行きになる」
「じゃあ何か持ってきてよ」
「とことん勝手だな、おい」
 そんなわけで俺は謎の住人と過ごすことになった。
 これからいろいろ面倒が起きてくるというのは、多分、別のお話。
 そうであって欲しい、と、心の中で強く願った。




だから落ちが弱いとry
どうも、シロでせう
うん、無理やりです、今回(ぁ
でも、次回はもっと無理やりです(さっき書いてた
だって眠かったんだもん(ぁ

ではーー
意見等ありましたら掲示板へー。大歓迎待機中
ノシ
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Theme : 短編小説
Genre : 小説・文学

返せ 返せよ!

2009-05-27 | 23:49

時間をかえせぇええええええええええええええええええええええええええええ



嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼シロです



自宅PCにてとある作業(学内でしか出来ない課題を家でやろうと)と格闘すること一時間以上
なんてこったい、うごかねぇ
……嘘……だろ?
明後日テストだぜ?

そんな中カラオケにいった俺はアホですね(ぁ
でもね、でもね!
ジムノペディックとか明日への咆哮とか普通に出るようになったんだよ!
成長してるんだよ!


でも、テストが……











あー、生きてるなぁ

辛い時こそ人間成長できる
そう信じる
そうしたい
そうしてやる




おろ旅を一人で続投しようと思案中
設定が好き(いろいろ変わるけど)



男ならー誰かのために強くなれー

誰かのためではないが、強くなりたい
ウリザベが言っていました「男ならダレよりも強くありてぇよなぁ!」と



強くありたい
精神的に
人して




さて、勉強がんばりますか

しばらく小説更新止まります
ダレも見てないだろうが




あにゃばばばばばば

お題「一つだけ」

2009-05-22 | 09:16

コメントわくわくしてます⇒Please Please


お題「一つだけ」


「いいか小僧、覚えとけ」
 小さかった僕が覚えていたのは、厳しくも、優しいその人の言葉だった。
「一つだけ忘れちゃいけないことがある……それはな――」
 だから、そのかけがえのない言葉を、僕は忘れない。

「ねー、こないだ注文したヤツまだ?」
「何でこれ値段張ってないの?」
「チラシに入ってた一番安いのってどれ?」
 朝一番、店の開店と同時に溢れ返る客たち。店の従業員は俺一人、それに対し客総数が二十を超えていた。つまり現状で対処不可能。
「はいはい! 一個ずつ対応するから全員待ちやがれ!」
 取りようにとっては暴言ではあるが、全員俺の顔見知りであり、お得意さんだ。これくらい言ったってなんとも思わないような人ばかりなので問題ない。
 一時間以上続いた地獄のような状況は沈静化し、店内にいる客がようやく一人二人となる。誰もが朝早くに魔物仮に出かけるので朝が鬼込みするのは仕方がないことではるが、やはり辛い。おかげで今ようやく食べれる朝食がやたらおいしい。
「仕事終わりの一杯はやはりうまいかい」
 カウンターでコーヒーを飲んでいる俺に話しかけてきたのは、金縁の眼鏡に灰色の髪を無造作にしている友人だった。
「そりゃあねぇ。本日も無事生き延びました、って感じだよ」
「ははっ、お前はそうだろうな」
「で? 今日は何の用?」
「おお、そうだった。これの修理頼むわ」
 そういって手渡された武器はあちこちの部品が取れ、まともに使える状態ではなかった。何処まで放置すればこんな状態になるんだろうか。
「……これ買いなおした方が早いぞ?」
「まぁ、そうかもしれないが、こいつに馴れちまうと愛着がさぁ」
「愛着は分かるが、これで弾撃ってみろよ。明後日の方向へ行っちまうぞ?」
「ほら、それはお前の腕でさ」
「無茶言いやがるなぁ……」
「頼むよ、なっ?」
「やれるだけはやるよ」
「流石!」
 友人はいくつかの書類を書くと、後日取りに来るといって店を出て行った。残っていたサンドイッチを口の中に詰め込んで武器の手入れにかかる。安く早く安全にがもっとーのせいで、この仕事始まって以来、休みという休みを取れたことはない。
 ガチャガチャと分解しながら、店入り口付近に置いてあるこの店の前店長であり、俺の拾い主でもある。魔物に親が食われ、子供だけ置き去りにされるなんてのはこの世界ではザラである。取り残された子供は同じように魔物の餌になっちまうか、闇市場に売られていくか、なんて悲惨な末路を歩むもんなのだ。
 俺の場合は運がよかったのか、のたれ死ぬ前に、前店長に拾ってもらえたのである。
 武器を全てばらばらにして、一度使える部分と捨てなければいけない部分に分けていく。問題はここからで、部品を新しくしすぎても、前と同じ仕様ではなくなってしまうのだ。調整がめんどうではあるが、友人は喜ぶだろう。
「たった一つだけこの店を継ぐことでの条件は……客を裏切るな、だもんなぁ。さぼれねぇー」
 そんなわけで本日もお仕事を頑張るのである。



気づいたことは、武器屋という設定がすき(ぁ
というよりは、書けないのに商売やっているキャラが好き。なんでだろうか(ぁ
これは多分、SSじゃんくてしばらくだらだらと書けそうな内容。
ただ、SSとして面白いかは別の話です(ぁ
ではー
本日中にもう一更新を目指します
ノシ

お題「黙示録」

2009-05-21 | 01:53

コメントおまちしてまーす⇒Please Please



お題「黙示録」



 ある日、古本屋で変な本を見つけた。その日は溶かされてしまいそうなくらい太陽がさんさんと照っており、コンクリートから返ってくる熱でとてもじゃないが外を出歩ってなどいられなかった。ただ、サウナ状態の自宅に引きこもっていても辛いことこの上ない。そこで近くにある店で時間を潰そうと考えたのだ。図書館は学生で溢れ帰り、ゲーセンはガキが群がっているに違いないので、それなりに広いスペースとあまり人の来ない昔からある古本屋に足を伸ばしたのだ。
 案の定古本屋の中にはあまり誰もいないし、店員はバイトの人間と、長居するには好条件だった。現代文明の利器であるクーラーがうなりを上げながら起動している。とりあえず店員の目からある程度隠れるような場所に入り込み、適当に漫画を手に取る。
 読みふけること一時間、流石に足や首も痛くなり、漫画にも飽きてきたので、近くのファーストフード店にでも行って、一度冷たい何かを飲んでくることにした。もちろんその後ここに戻ってくることは言うまでもない。
 古本屋を出ようと、店員にあまりじろじろと見られないルートを通ってドアへと向かうと、途中の一角で何かを発見する。漫画の棚に一冊だけ突っ込んである謎の本。厚さからして絶対に漫画の類ではない。それに何より、背表紙にタイトルがなかった。いや、元はあったのかもしれないが、ぼろぼろに崩れている感じで、今となっては解読不能になっている。少しだけ気になったのでそれを手にとって表紙を見ると、また同じようにボロボロになって、且つ破れており、タイトルがほぼ読めなかった。
「黙示録?」
 消えている筆跡を辿りながら、とりあえずそんな字が書いてあるんだろうという結論が出た。裏を見ると、バーコードもないし、中古販売用の値段もない。この本を捨てたかった人がここに捨てていったんだろうか。ぱらぱらとページを捲ってみると、更におかしな点が出てきた。とりあえず一ページ目が白紙だった。二ページ目、白紙。三ページ目、白紙。四ページ目――
「全部白紙かよ!」
 つい我慢できずに突っ込んでしまう。じょじょに自分に突き刺さってくる視線。凄くいたたまれない気持ちになってしまい、その本を戻すことが出来なくなってしまった。というより、完璧にタイミングを逃してしまったのだ。店員が自分を見つけ、笑顔で訴えていた。
「一冊くらい買っていけ」
 確実に心の中でそういっているんだろうなぁと思いながら、この変な本をレジへと持っていく。バーコードも値段も貼っていないのに、どうするんだろうか、とでも思っていたら、あっさり百円ぷらす消費税を要求された。なるほど、そういう類の本か、と思いながら財布から硬貨を取り出して店員に渡す。帰ってきた九十五円を財布に入れて、手荷物を持ちながら近くにあるファーストフード店に行くことにした。

「だ、大失敗だ」
 そう思ったのは店の中がかなり混雑しており、座れるような席などなかったからだ。注文して頼んだ物が出来たのはいいが、座れないためにどんどん出来立てを冷ましていくという人が大勢いた。
「出来れば十分くらいで座りたなぁ……」
 半ば諦めながらそんなことを呟いて待っていると、遠くで誰かが手を振っていた。おいおい、レジ付近で待っている人に手を振って注目を集めるなんて、何処の誰が恥ずかしいことをしているんだろうか。まったく俺じゃなくてよかったよ、と思っていると、その手を振っているヤツは何のお構いもなしに誰かの名を呼ぶ。
「反応しろよ! 馬鹿泉!」
 ちなみに俺の名前は泉である。ぎぎぎ、と首を動かして、声の主を確認すると、同じ高校の友人であった。どうやらビンゴしてしまったのは俺らしい。穴があったらそこで首を吊って爆発して死にたいと思ったのはこれが初めてである。
 とりあえず手だけ振って、どうにか購入した百円のコーヒーを持って、人の名前を読んでくれた大馬鹿野郎がいるテーブルに座った。というより、勝手に座ってやったのだが。こうでもしなければ割りに合わない。
「ところで泉たんは何でこんな所へ?」
「今度その呼び方言ったら殺す」
 俺は男である。その気色悪い呼び方は是非止めていただきたい。
「おーおー怖い怖い」
 わざと大きく反応したこいつは、同じ高校に通う慶介という男だ。ふと、本来なら慶介の隣で微笑んでいる存在がいないことに気づく。
「あれ? いつも一緒の麻子ちゃんはどうしたんだよ」
「今日は課外なんだとさ」
「そうか、麻子ちゃんも受験シーズン入るもんなぁ」
 所詮百円で買えるコーヒーはすぐ底をつき、余った氷ががらがらと崩れる。店内はまだ大変込み合っており、俺より早く来た人が待っている状態だ。
「いや泉君よ、俺の大切な妹をだね、勝手にちゃん付けにしないでくれる?」
「なんでだよシスコン」
 この慶介、重度のシスコンで、妹が大好きで大好きで仕方がないらしく、一日会わないだけで熱を出してうなり始めるのだ。問題はその麻子ちゃんもあまり慶介を嫌わず、むしろ、そうやって可愛がってくれることを喜んでいる。多分そこが問題なんだろうなぁと思いながら、ないコーヒーをすする。いつの間にか出来た氷水が喉を通っていく。
「シスコンだからです。大体、そんなに麻子と仲良くもないだろ?」
「こないだお前の誕生日プレゼントを選ぶとのことで一緒にショッピングに出かけましたが?」
「勝手にフラグ立てるな! どうりでこないだのプレゼントは妹らしくないと思ったんだよ!」
 そのプレゼントは革製のブレスレットで、確かに男の人が選り好む物にした。でもそこで、誰かと行ったのか、という考えは怖くて出来ないようだ。流石シスコンである。
「あー、将来結婚フラグ? 友人妹とかぁ、さながら二次元だな」
「ぶっ殺しますよ?」
「いやいや、まじに付き合ったらどうするよ? 明日からとかさ」
「ぶっ殺しますよ?」
「同じこと二度も言うなよ」
 慶介の目が据わっているのを見ると、どうやら本気らしい。慶介の納得いく野郎が見つかるか、という前提条件のクリアは大分難しいかもしれない。がんばれ、麻子ちゃん。
 店内に居座ること四十分。飲み終わった、もとい慶介の食い終わったゴミの乗ったトレーを店員がわざわざ回収しに来る。その顔は実にすばらしい笑顔であったが、俺たちにはそれが帰れコールにしか見えなかった。いい加減限界を感じてはいたので、物理的に重くなってしまった腰を上げて、ファーストフード店を出ることにした。買った黙示録が異常に重たいので、腕が痛く、悲鳴を上げていた。辞書以上の重さがあることは間違いなかった。ようやくその存在に気づいたのか、慶介が俺に疑問の視線を投げかけてきた。
「本ですよ、本」
「何? 辞書? 勉強ですか泉くん」
「そんなところだ」
「ちょ、ナチュラルに肯定しやがったな!」
「真理だからな」
 嘘八百を並べながら、ぐだぐだと会話をしながら店の外へ一歩踏み出す。同時に襲い掛かってくる熱波が、先ほどまでの快適だった空間のことを一瞬で忘れさせてくれる。これはまた古本屋にまた行って時間を潰さねばなるまい、と思ったのだが、どうやら空の様子がおかしい。晴れ渡っていたはずの空は曇天となり、今にも大きな雷が鳴り響き、バケツをひっくり返したような雨になる気がした。
「おいおい、傘持ってきてねーよ」
「その辞書で防げよ」
「使い物にならなくなんだろ。というか、降るな、こりゃ」
「……俺もないんだよなぁ」
 不安そうな顔をしながら人の少ない街を歩いていく。みんなクーラーのある過ごしやすい場所にいるため、街中はすっからかんになっている。そのおかげで、俺たちのように貧乏な者たちは、クーラーによって発生した廃棄熱で苦しむ羽目になるのだ。
 古本屋まで残り百メートルを切ったところで、コンクリートに一つの染みが出来た。体の中に嫌な予感が走ったと思うと、それを追うように次々と染みが増えていく。心の中で盛大に悪態をつきながら古本屋を目指して駆け出す。バタバタ、と地面に水が叩きつけられる音が響き渡り、一気に湿度が増す。体にまとわりつく湿気が少し濡れた服を密着させ、気持ち悪さを倍増させる。
「……運悪」
「だな。目的地についたし、雨が止むまで立ち読みしてよーぜ」
「賛成」
 そういいながら古本屋のドアを開けようとするが、何故か開かないドア。音を立てるだけで一向に開閉する様子は見られない。よく見てみると、ドアに黄色い紙で張り紙がしてあった。
“臨時休業”
 一度見間違いかと思って。もう一度確認をしてみる。結果は一字一句変わらず“臨時休業”だった。つまり、中に入ることは出来ない。振り返れば最高にテンションの下がる土砂降り。
「……十秒後に止め」
「それは無茶だろ、ほら、見てみ」
 そういって携帯が渡された。二昔前くらいの機種の画面から映し出されているのは、これから一時間の天気予報で、十分刻みに天気がどんな状態かを予測していた。十分後から一時間後まで全部雨のターンである。
「ふざけろ」
「俺に言うなよ」
 ため息が一つ漏れるが、ふと、音が止み始めたことに気づく。恐らくすごく間抜けな顔をしながら空を見ると、何故か急に引いていくどんよりとした雲があった。また太陽が顔を出し、世界を明るくしていく。
「……どういうこと?」
「夢でも見てるんじゃねーの?」
「そうか、夢か」
 慶介の頬を思いっきり抓りあげては見るが、どうやらなんともないので夢ではないらしい。
「痛い! 痛い!」
「うん、夢じゃないことが証明されたな」
「自分の頬でやれよ!」
「嫌」
 雨は上がったものの、後ろを振り向けば、休んでるからさっさとお家へ帰れという御触れがある。今日何度目のため息かは忘れたが、大きくそれを一つ残して、俺たちはそれぞれの家に帰還することにした。

 一度雨が降ったおかげなのか、部屋の中は暑いから蒸し暑いにグレードアップしており、不快指数がとんでもないことになっていた。扇風機を回しても送られてくるのは温風でしかない。黙示録を布団に投げ捨て、プラスチック製の安いボックスから着替えを取り出して、風呂場へと向かう。汗でびっしょびしょに成り果てた服を洗濯機にぶち込み、シャワーの栓を捻る。冷たい水が体の熱を取り去ってくれる。適当に体を洗って、濡れた体をバスタオルで拭いていく。正直、服を着るのも億劫になるくらい暑いので、パンツ一丁で台所へと向かう。アイスでも入ってないかなぁと、希望を抱きながら冷凍庫の扉を開ける。冷気が顔に当たり、このまま扉を閉めたくない気持ちに駆られる。ただ、お目当てのアイスを発見することが出来たので、それを口に咥えつつ、部屋へと戻ることにした。
 扇風機のスイッチを最強にして、取れる分だけの涼しさを取ろうとする。ふと、ベッドの上に転がった黙示録が開いていることに気づいた。先ほど投げ捨てた時にでもページが開いたんだろうか。ほとんと棒しか残っていないアイスを齧り、黙示録を手にとる。開いていたのは一ページ目で、買った時と同じ白紙――ではなかった。
「……?」
 小さな黒い文字で何かが書かれていることに今更気づく。何故本屋でこれに気づかなかったんだろうか。もしこれに気づけていたら、無駄な出費をしなくてもすんだろいうのに。目を凝らしてそれを読み上げてみる。
「十分で席に座れる……何これ」
 確かにそう書いてあるのだ。
「土砂降りの雨が降る」
 これも間違いなく書いてある。こんな文字であろうとも、意味の分からんこれに気づきかないものなんだろうか。
「雨が十秒後に止むに冷凍庫にアイスが入っている」
 しかも何で的確に俺が言ったことを記録しているんだろうか。

「俺が言ったこと?」

 何故だか知らないが、嫌というまでに感じていた暑さが全て吹き飛ぶ。携帯を取り出して、黙示録というワードで検索をかけてみる。出てきた単語の一つで分かったことは、黙示録とは一種の預言書のような扱いをされる場合があるということ。
 預言書? つまり、これから先の未来で何が起こるかについて書いてある本のことなのだろうか。ということは、これは相当ヤバイ本なのか。いやいや、そもそもこれは立派な夢なわけで、早く目を覚まさないといけない。
 開いた黙示録を閉じて、本棚の奥へ押し込み、ベッドへと飛び込む。嗚呼、宿題やらなきゃ、いけないいけない、と笑いながら、さっさと寝ることにした。夢の中で寝ればまた夢でも見るんだろうか。
「現実に戻ったら今日はハンバーグだ。わーい、今日はご飯いっぱい食べるぞー、うふふー」
 気色悪いことこの上ないことをほざきながら、暗闇に飲まれていくことにした。

 耳元で鳴り響く五月蝿い音で目が覚める。携帯に登録してある電話の着信音が二度目のループを始めた所だった。急いで手に取り、通話ボタンを押すと、聞きなれた声がする。
「ご飯だから降りてきなさい」
「なんで電話で起こすんだよ」
「なんとなく」
 何よりも茶目っ気だっぷりな声だったので、イラっとした。向こうで何か喋っているのを無視して電話をぶち消す。居間のテーブルには帰ってきた母親が料理を既に並べ終え、ご飯をよそう直前の状態になっていた。
 今晩の献立は、白米にお味噌汁、お漬物に、サラダ、そして、ハンバーグ。ほこほこと湯気を上げまくるハンバーグはおいしそうなのだが、なのだが、ほんの数時間前のことが頭に蘇ってくる。
「今日はハンバーグにしてみました。どうよ、うまそうでしょ?」
「えー、あー、うん、うん、おいしそう」
 いつもならこのお友達感覚で離しかけてくる母親に一言二言突っ込んでやるのだが、今回はそんな余裕がない。相槌を打つのに精一杯で、焦点が一つも定まらない。目が泳いでいるとは正にこのことだ。
 茶碗山盛りになったご飯をかきこみつつハンバーグも口の中へ入れていく。とりあえずおいしいのは置いといて、早くあの黙示録のページを開きたくてしょうがない。現実が非常にまずいことになっている。下手すると取り返しのつかないことになる気がするのだ。いや、夢だと鼻でぜひとも笑い飛ばしたいところだが、流石にそうも言っていられない。ちょっとまずったことを言っていないか確認をしなくてはいけない。
 お椀が空になり、ご馳走様、と言おうと箸を置くと、ひょいと茶碗が消えていく。
「食欲旺盛ねー」
「勝手に盛るな! しかも多い!」
「いつも食べるでしょ」
 何故こんなときに限って母親は余計な気を利かせてくれたんだろうか。確かにおかずのハンバーグも味噌汁も漬物も塩鮭も残っている。塩鮭?
「おかず増えるのかよ!」
「ほら、グリルで焼くのって時間かかるじゃない」
 飯種が増えることをいつもなら歓喜しているだろうが、今は一つも嬉しくない。むしろ辛いばかりである。こんなに長い夕食は初めてな気がする。
 ご飯というのは急いで食べ過ぎると若干気持ち悪くなるらしい。学びたくもないことを学びながら、部屋に出来れば永久的に封印しておきたかった本を取り出す。
 黙示録の一ページ目を開くと、四行しかなかった文章が、五行に増えていた。
「夕飯ハンバーグ……」
 これも綺麗に大当たりである。ということは、これはもう九割九部九厘の確立でなんか現っぽくない本ということになる。恐らく、俺が口にしたことが、現実となって、実行されて、実行が終了すると、本に行われたことが書き込まれていくのだろう。
 何処のファンタジーなんだろうか。魔道書だの、そういう類に分類されるのだろうか。そもそも、魔法なんていうのは一種の儀式的な物であり、現実ではありえない代物である。いや、今重要なのはそこじゃない。最優先で確認しなければいけないのは、本を手にしてから自分の放ってきた言動についてだ。もしかしたらひとり言でぼそぼそ言っていたことが現実になるかもしれない。しかし、これといって、誰かに死ねだのなんだのとヤバイことを言った覚えはない。
「明日には捨てちまおう、これ」
 多分今言ったことも反映されるのだろう。いや、反映されなかったとしても、絶対に捨てるのだが。
 言動に気をつけながら、部屋に閉じこもること数時間が経過した。時計の短針が十二に近くなり、寝貯めしておいた分が全て消費され、睡魔がじょじょに襲い掛かってきた。早く寝て、明日朝市でこいつとおさらばしよう。そう思い、またベッドの上で横になり、電気を消す。
 しかし、それを邪魔するかのように電話がなった。メールではなく、また電話だった。しかも、慶介の自宅からかかってきている。もしかして、慶介のヤツ、携帯何処かで落としたりでもしたのだろうか?
「はいはい、もしもし」
「あ、泉さん、ですか?」
「へ? あぁ、うん、そうだけど……麻子ちゃん?」
「はい! そうです!」
 夜なのに随分元気がいいなぁと思いながら、同時に湧き上がる疑問が一つあった。何故麻子ちゃんが俺に電話なんかをしてきたんだろうか。
「何? どうしたの? また慶介のプレゼント選びかい?」
「いえ、そうじゃなくてですね……えーと、あの、その……」
「?」
 時計の長針が十二を超えた。
「私、泉さんが好きなんです! 付き合ってください!」
「は――」
「嫌ぁああああああああああああ!?」
 電話の向こうで絶叫が響き渡る。間違いなく慶介である。
「泉ぃいいいいいい!! そこを動くなぁああああああ!」
 地獄から聞こえるような恐ろしい声がすると、すぐに何かが走りぬけ、ドアを蹴り破り、何処かへ走り去ったようだ。携帯越しにでも分かるが、慶介の行き場所はもう分かっている。俺の家である。というより、俺である。
「うん、麻子ちゃん、ちょっとまずいから電話切ってもいいかな?」
「嫌です!」
 まさかの拒否をされてしまう。
「泉さんのお返事聞かないと、嫌です! あ、でも、そのまま声を聞いていたいです!」
「いやいや! わかるでしょ! 麻子ちゃんのお兄ちゃん間違いなくこっち来てるって! 逃げないと!」
「だったら私も行きます! 待っててください!」
「状況ややこしくしないで!?」
 ツーツーツー。
 無情かな。
 ツーツーツー。
 誰も俺の意見など聞いてはくれないらしい。
 とりあえず俺に出来るのは、黙って穏便にすむことを、それこそ祈って待つことだけった。

「泉さん、あーん」
「泉くん、あーん」
 病室のベッドの上で差し出される、リンゴと危険な香りのする何か。どうみても片方は毒である。なので、迷わずリンゴを食べる。同時に頬に押し付けられる何か。完璧に嫌がらせだ。
「お兄ちゃん!」
「ははは、ほら泉くーん、食べないとー。明日には天国だよー」
「ふざけんな!」
 右には天使の麻子ちゃんが、左には悪魔というか死神というか、とりあえず危険な慶介がそれぞれ椅子に座っていた。そんな二人に挟まれた俺は両腕両足が骨折している状態だった。
 原因? 言わなくても分かるだろ?
「ほーらほーら」
 今は危険物から逃げるのに必死である。
 そして、気づいたら黙示録は何処かに行ってしまった。正直、助かったという部分もあるが、一体全体、あれは何処に辿り着くんだろうか。
 もしかしたら、またあの古本屋でこっそりと誰かが手に取ってくれるのを待っているのかもしれない。





うん、結構長い
SSなんだろうか
こんばん、シロです
あれですね、こういう乗りは書いててたの(ry
後、黙示録っていうお題が難しい。どうしろと
預言書として扱われる時もあるそうなので、中身を置いて、とりあえず預言書、という意味で使いました
中身を持ってくると本当に凝らないといけないので、時間的に無理でしたー残念

それではー
一言でももらえるとテンションがあがるんだZE
ノシ

お題「声が聞きたい」

2009-05-19 | 00:55

あなたの一言が活力に。ご要望おまちしてまーす⇒Please Please



お題「声が聞きたい」



 冷たくなった空気が頬を撫でた。風は春を連れてくるのだが、まだ時期的には早いようだった。蒲公英は必死に黄色の花を咲かせ、土筆もう大きく成長しすぎていた。
 深夜の二時過ぎ。薄い白の長袖に着古したジーンズではまだ寒い格好である。ただ、大丈夫だろうと甘い考えで外に飛び出してきたので、上から羽織れるような物は何もない。口から漏れる白い息が何よりの証拠だった。
 街灯がぽつりぽつりとついた商店街は、心霊スポットを言われてもおかしくないくらいの不気味さを放っている。私はその中を小走りでとあるものを探していた。それはとても大切な物で、なくさないようにいつも首にぶらさげていたのだが、先ほど風呂に入ろうとしたときになかったことに気づいたのだ。
 一瞬、いつまでも縛られるのもあれかと思い、諦めようともしたが、やはりそんなことは私には無理で、こうやって飛び出してしまったのである。何処でなくしたのかは分からないが、今日は歩いた道の途中で落としてしまったに違いない。そこを重点的に探すという手段しか取れないのは痛いが、黙っていても落とした物が帰ってくるわけではない。たとえ零に近い確立でも、それは零ではないのだ。後は自分の足と運を信じて根性で捜すしかない。
 息が荒れ、足の痛みがひどくなり始めた頃、商店街の一角で何かを見つけた。ここからではよく見えないが、お祭りなどに見る出店のような物がライトによって明るく照らしだされ、そこだけ不思議な空間を成している。もしかして昼間に営業していた屋台が電気を消すのを忘れてしまったのだろうか。いや、私があそこ周辺を歩いていた時には、まず屋台すらなかったはずなのだが。見落としていたのかもしれない、と思い、その屋台を覗き込んでみると、真っ白な台があり、その上に何を売りたいのかわからないような物がごろごろと転がっていた。どう見ても売る気がないとしか思えないような配置で、値段が書いてある様子もなかった。台の向こうにはパイプ椅子に誰かが座っていた。真紅の髪に、真紅の眼。服は何処か西洋を連想させるようなフリルがたくさんついた服で、一般的にはゴスロリと呼ばれる類の物だ。風が吹いたわけでもないのに、その長い綺麗な髪が揺れた。
「いらっしゃい、こんな夜中に何をお求め?」
 外国の人だろうか、という考えは流暢な日本語であっさりと砕かれた。ただその声は、今まで聞いてきた中で一番透き通った声で、耳から聞いているはずなのに、何故か私の体の芯にまで潜り込んできた。幻想的なその人に、私はしどろもどろしながら、言葉を紡ぐ。
「いや、その、お求めというか、えーと……探し物を……」
「ふーん……どんな物をお探しで?」
「買いたいもの、ではなくて、落し物、何ですけど……」
「あらそう。落し物ねぇ……例えばこう言った物とか?」
 その人は台の上にあった物を掴み、私の前と掲げた。それはロケットと呼ばれる写真入れで、首からぶら下げるのだが、そのために使う鎖がぷつりと切れていた。銀色で、既に色が落ちかけているそれは、到底売り物には見えない。いや、売り物ではない。
「……何故持っているんです?」
「拾ったからよ。声がしたから気づけたんだけどね」
「声?」
 私が怪訝そうな顔をすると、その人はくすりと笑った。人形のようなその人が笑うと、それは本当に作り物である。触れても、ただ硬い感触だけが帰ってきそうな完璧な人形だ。その人はロケットを私の手に乗せると、今度は別の何かを手に取った。それは小さな木で出来た馬の玩具で、取り付けられた木製の車輪で動くようになっていたのだろうが、その車輪が取れてしまっていた。馬の玩具は台の上で立った状態であることが出来ずに、ことん、とすぐに横に倒れる。その人は、その様子を私に何度か見せると、私を手招きする仕草をした。
「耳を澄ましてみなさい」
 一体どういうことなのかと思いながら、私は耳を澄ました。静寂に包まれた商店街で聞こえるのは、この場にいる二人の声だけである。後は、たまに吹く風で何かが揺れる音くらいだ。
――ありがとう
 音は耳ではなく、また私の芯に響く。誰も喋っているはずがないのに、何処からともなくそれは響いた。私は私を疑いながら、その人に視線を移した。
「聞こえたかしら?」
 私が言葉を失っていると、何かが喋る。
――たくさん遊んでくれてありがとう
 二度目のそれは、幻聴なんかではないということの裏づけだった。私は馬の玩具に触れてみる。ざらついた木の感触が指越しに伝わるが、先ほどの音がするわけではない。ただ、ちょっと温かいような、そんな気はした。
「消えていく、捨てられていく何かの声……ここはそれが集まる場所」
「私は、それを捨てた覚えはない、です」
「あら、物にだって選択権くらいあるのよ? 誰かの所にいたい、とか、この人の側から離れたい、とか」
「……それは、つまり――」
「何も言う前に確かめてみなさい。真実はすぐそこよ?」
 その人はそうとだけ言うと、ロケットを私に向かって差し出した。これに触れれば、いや、触れなくても、私が聞こうとさえすれば、その人によって音が私の中に響いてくるのだろう。一歩前に踏み出せば、私はそれを手にすることが出来る。
 ただ、それだけに怖かった。もし言われたことが本当なら、私は立ち直れない。ロケットの声だけがするのならば、いい。ただ、もしロケットの中にある物が、音を私に届けるのであれば。先ほどの馬の玩具とは条件は違うが、ありえないことではない。さっきの段階でありえないということは、否定されてしまったのだから。
 その人は何も言わずに、ただそれを差し出したまま止まっている。笑うわけでも、怒るわけでもない表情で、私をずっと見つめている。それが私を見ているのか、私の何かを見据えているのか、分からなくなるくらいだ。
 少しだけ、手が動いた。もし、全てを否定されたとしても、音を手に入れなければ、私は一生後悔することになる。それだけは間違いなく言えることだ。一生消えない後悔を背負うよりも、奈落の底に落とされる可能性がある物に手を伸ばした方がいい。その方が、私は後で、あの時は、なんて思ったりしなくなるから。
 そっと、指先だけがロケットに触れた。それでは何も起こらず、その人も、何も言わない。大切なことはこの先にある。ロケットではなく、消えていく何かの声があるからだ。
 摘むようにしてロケットを受け取り、それを開けた。錆びた金属が擦れる音とともに、中にある物が目に飛び込んできた。丸く切り取った写真。
 写っているのは私の兄だった。
――遅いんだよ、取るのが
 想像していたよりも荒々しい言葉が突き刺さる。でも、それは私を恨むような声ではなく、時間が過ぎてしまったことを後悔するような声だ。私は写真に触れて、耳を澄ました。
――まったく、お兄ちゃんの写真を落とすとはあれですか? 妹の反抗期ですか?
「……違うよ、馬鹿」
 数年前に突然聞くことの出来なくなった温かい声が響く。
――しかし大きくなったこと。そろそろ一緒にいてやらなくても、もう大丈夫だよな?
「大丈夫なわけ、ないでしょ。ずっと一緒にいてよ」
――無茶言うなって。これでもまだここにいるのは大分無理してるんだから。何、お前さえ忘れてくれなけりゃ、俺は満足だから
 それから他愛のないことを話した。何で話が出来るのかも知らないのに、ただ話していた。その話すことが、今の時間でとても貴重で、永遠にもう手に出来ないチャンスな気がしたからだ。
――それじゃ、元気に育てよ、妹
 最後の最後で、兄はそうとだけ言い残した。それ以降、もう私の中には何も響かなかった。
「優しいお兄さんね」
「とても、馬鹿ですけど」
「いいじゃない、馬鹿なくらい」
「はい、別に構わないです」
 その人は私に一度笑いかけてから、ロケットを私の手から取り、口を開いた。
「物や人は、いずれ消えていくの。一人だけが覚えていても、たくさんの人が忘れてしまったら、それは消えなくてはいけない。そうしないとそれは消えずに、どんどん溜まって、いずれパンクしちゃから。ただね、これは覚えていて欲しいの」
 その人は兄の写真を一度見ると、私にロケットを返す。
「思いだけは消えないわ。消えていく物や人も同じように、思いだけはね。それぞれがそれぞれのことを忘れたりはしない。ただ、大勢の波に飲まれて、小さな声が掻き消されてしまう。それだけのことなのよ」
「……私の兄はずっと私を忘れずに見てくれているということですか?」
「そうよ。あなたのお兄さんはあなたの中ではしっかりと生きているわ。でも、それに縛られてしまってもいけない。あなたは一生前に進めなくなってしまうから」
「……」
「それもあってあなたのお兄さんは、私の所へ転がり込んできたのよ。妹のためだ、ってね。自分が消えてしまうのにも関わらずに」
「ほんと、馬鹿な兄ですね」
「ええ、そうね」
 鎖の切れたロケットはもう首にかけることはできない。私はそれをポケットに大事にしまい、その人に深く頭を下げた。そしてお礼を言おうとした時、明かりが急に消えた。驚いて顔を上げると、そこには青いプラスチックのゴミ箱しかなかった。
――さようなら、早くお家に帰らないと、お兄さんに叱られるわよ?
 その人の声が唐突に響く。何処にいるかも分からず、私はもう一度だけ頭を下げた。ふふっ、とその人が笑ったような気もしたが、それを確認する術はない。
 もう一度ポケットの中にある物を確認して、私は商店街から出ることにした。
 やはりまだ冷たい風が私の髪を撫でる。何処からか、そんな薄着だと風邪を引くぞ、と響いた気がした。だから、私は心の中で呟いておいた。
「大丈夫。馬鹿は風邪ひかないんだから」



はい、シロです
今回のはそれなりに書けた気がします。謎のお姉さん、本当はおっさんでもいいかなぁと思いましたが、なんとなくそのままお姉さんで書きました
三十分ではなく一時間、かな? 時間を計っていないので分かりませんが
それではそれではー、感想等いただけるとうれしいですー
ノシノシ

2009-05-18 | 01:08

何か意見がありましたらお気軽に⇒Please Please


お題「歯車」


 運命の歯車は、予定を崩すことなく、正確に、ただ正確に動き続ける。ただ機械的に動き、歯は一つ一つ確実に噛み合い、一寸の狂いを探すことがまず難しい。
 “あなたは死なない”
 その運命の歯車を見ることが出来る人がいる。人は運命によって導かれるとき、別の歯車が出現し、それが最後として、今として動くのだ。もし別の歯車の歯がかけていたら、動きが鈍かったら、異常を示し、歯車は動きを止めてしまう。それは死を意味することに他ならない。
「敵総数何十万、それに対し、此方は数千の兵……それでも、か」
 戦況の話を聞いた時、私たちは絶望した。それでは勝ち目などないと、私は思った。祖国のために死ぬのが惜しいのではない、祖国のために戦って倒れても、守りたいものを守れないからだ。
「はい、それでも、です」
「……俄かには信じられん話だが」
「西の魔女の話しを知りませんか?」
「知っている。だが、私が生き残るなどというのは、只の敗走ではないのか?」
「あなたが望む結果になります。いえ、するのですよ、私が」
「……何を言っている?」
「ふふ、まだ教えては差し上げません」
 魔女は邪気のない微笑みで俺を見る。話に聞いた魔女は、もっとまがまがしい存在で、少し離れていてもその異様さに身を引きたくなるということだった。しかし、目の前の魔女はどうなのだろうか。真っ白な肌に真っ白な服。持っている物など何もなく、単身で私を訪れてきた。その見た目からは私が今まで想像に抱いてきた魔女らしさの欠片もない。
「ただ一つだけお願いしたいことがあります」
「というと?」
「もしこの戦に勝ち、もしあなたの望む結果になったらば、私と一緒に来てほしいのです」
「それは私に拒否権はないのか?」
「あります。ですが、私はあなたがついてきてくれるまであなたの側にいます」
「……理由によって、だな」
「助かります。では……その理由を説明しますと――」
 魔女が大切なことを語ろうと口を開くと、それを遮るように部屋のドアが開いた。見覚えのある兵士が息を切らしていた。
「た、大変です!」
「敵が来たのだろう? 慌てるな、それこそ敵の思うつぼだ。それで? 今はどの当たりにまで進行している?」
「それが平原にて急に進行が止まり、その場で大規模な戦闘が行われている模様です!」
「どういうことだ? 我が軍に援軍などありえるはずが……」
「六つの歯は欠けることなく七つ目の歯のために狼煙を上げたのです」
「最初から全て計画してあったこと、か」
「勿論です。それでは行きましょう。あなたを待つ戦場へ」



 祖国から馬に乗り走ること数十分、戦場が見え始めていた。私の後ろに乗っている魔女は揺さぶられることにあまり耐性がないらしく顔が若干青ざめている。
「大丈夫か?」
「ダメです……」
「頼りのない魔女だ」
「うぅ……変な異名で呼ばれているあなたに言われたくないです」
「異名ねぇ……」
 眼前に広がるのは既に戦闘する力を失った兵士の群れだった。既に数えられる人数ではなくなっていた。私はそこで馬を止め、先に魔女を大地に下ろす。魔女はふらふらとして、一歩二歩と前へ進んでいく。私は苦笑しながらも、その後に続こうと馬から下りた。その刹那、目に写ったのは魔女に掴みかかろうとする兵士だった。どうやら若干息が残っていたらしく、目の前にいる無傷の人間に手を伸ばしたのだ。魔女はそれを見た。だが、咄嗟に行動できるほどの反射神経はないらしく、顔がただ歪んでいくだけだった。
 私はため息を漏らしながら、体を前へ傾け、右手を後ろに引く。一歩、それだけで十分だった。兵士の顎に右手の平をあて、上空に打ち上げる。重力の働く方向とは反対方向にひっぱられていく兵士は既に意識を失っていた。
「ひゃう!」
 兵士が吹き飛んでから魔女はようやく声を漏らす。しかもすごく情けない声で。
「さ、流石は鬼と謡われた人です」
 魔女はすぐさま私の後ろに隠れながらそう言うが、心ここにあらずという感じだ。恐らく魔女の供である六人がここにいる兵を駆逐しながら勝手に進んでいるのだろう。
「まったく……人じゃないみたいだな」
「多分あなたには言われたくないかと」
「……」
 少し黙っていると、早く行けと言わんばかり、魔女が背中を押してくる。というよりは、ここにいるのが怖いだけなのだろうが。
「そうだ、その六人に会う前に、先ほどの理由を聞かせてもらおうか?」
「……運命の歯車は、人にだけあるものじゃありあせん。鳥にも、空にも、大地にも、海にも、星にも、そして、世界にも。世界の運命の歯車の歯が七つ、欠けています」
「その歯の一つが私、ということか」
 すぐ目の前にその六人のシルエットが浮かび始める。
 私は覚悟を決めることにした。祖国を守れるのであれば、この命、もう惜しいことはない。ならば捧げよう、この世界に、守りたい人がいるのだから。



 ――歯車は止まらない。世界の運命がどんな道を辿ろうとも……



うん、もう六人いるのかよ(ぁ
なんかこう、運命の歯車、というワードがよかっただけです(ぁ
魔女なのにどっちかというと回復専門の弱弱しい聖魔っぽいですよね。ていうかそうした(ぇ

というか、これはこの後どうするんだろうか
魔王とでも戦うのか


それではそれでは
ノシ

お題「また明日」

2009-05-17 | 00:32

ご意見要望感想は此方へー⇒Please Please



お題「また明日」


 また明日。
 そんな台詞は死亡フラグ以外の何物でもない。俺の隣でコントローラーを握り締める弟は真剣な顔をしている。その視線の先には死亡フラグを連発する人々の群れが写っていた。この戦いが終わったら俺結婚するんだ、と言っていた男はきっと死ぬんだろうなぁ、と思っていると、その十分後、案の定男は死んでいった。
 恐らく主役級の人物以外はどんどん死んでいくのがファンタジー系ではよくあることだ。ひどいヤツなんかは出てきて五分もしない間に瀕死になり、主人公の傍らでお陀仏するのもいる。
「ところで時に弟よ」
「ん、何?」
「お前はいつまでゲームやってるんだ?」
 只今深夜の一時。此方としてはいい加減寝たいところなのだが、生憎弟がテレビを占領しているため、寝付けないのだ。
「あー……さぁ?」
「さぁじゃねぇよ、寝ろよ。俺が眠い」
「大丈夫、俺は眠くない」
「ふざけんな。勉強でもしなさい、勉強」
「だが断る」
「ネタを出すな」
「だが――」
「くどい」
 とりあえず蹴りを入れてはみるが、流石我が家の弟、びくともしない。
「また明日やれ」
「それは明日には出来ないっていうフラグ?」
「死なないだけましだ。寝ろ」
 確かにフラグではあるが、死ぬことはない。出来ないとしても、宿題がやたら出たとかゲーム機が壊れたとかそんな時だけだろう。いつも学校終わると人の部屋で勝手にやっているのだから。
「俺明日になったらゲームするんだ」
「自分で立ててどうするんだ」
「それも一興かと」
「いやただの馬鹿」
 弟がようやく消えた部屋は静かになり、寝る準備がしっかりと出来た。
 とういことで近くにある小さい電気をつけて、買っておいた小説をこっそりと取り出す。ゲームの音が五月蝿くて集中できないので、先ほどまで隠しておいたのである。
 ちなみに本日の勉強時間は零。そんなのは明日にでもやればいい。
 所詮、俺たち兄弟である。そんなわけで俺は小説の世界に没頭することにした。


うん、普通にありそうな展開になってしまいましたね
シロです
ここ最近忙しくてあまり書けませんでした
「SIGN」が大分止まっています。うーん、途中から納得がいかなくなりはじめました……でも設定は嫌いじゃない。考え直そうか
技術的に進歩が見えること祈って
ノシ

[お題「また明日」]...Read more

お題「ブランデー」

2009-05-11 | 23:57

一言添えてもらえるとシロは跳ね回ります⇒Please Please


お題「ブランデー」

「さぁー、コップの空いているヤツはどいつだー?」
 べろんべろんに酔っ払っている先輩が酒瓶を片手にあちこちを歩き回っている。その両手にはウィスキーとブランデーの瓶を持ち、空いているコップを見つけるとそれを注ぎ始めるのだ。どちらを注がれるかは先輩の気分しだいなのだが、どっちを注がれても正直アルコール度数が高いので困りはてることになる。
 特に理由もなく大学サークルの飲み会にたまに出現するこの先輩は、後輩から非常に恐れられている存在である。酔う前は普通の人なのだが、酒が入ると一変し、とんでもないことになるのだ。今行っている行為もそうだが、他にもいろいろ惨事を引き起こそうとする。例えばプロレスの技と思われるものを何の躊躇いもなくかけてきたり、女の子に急に抱きつき愛の言葉を並べだしたり、止めは飲み会の場にあった物を勝手に持って帰ったりするのだ。ちなみにこの先輩、何故かいくら飲んでも死ぬことがない。この酔っ払った最悪の状態を維持し続けるので迷惑極まりない。
 とりあえずコップに何か入れておかないと殺されることになるので、近くにあったソフトドリンクに手を伸ばす。先ほどからいろいろ飲んでいたので、いい加減胃でぐるぐる回る酒を薄めたいというのもあったからだ。しかし、その甘い判断が不幸を招いた。
「おっと、酒の席でこれはは外道だよなぁ」
 ひょいっと取られてしまう烏龍茶。しかも、このせいでターゲットが誰だか決まってしまった。自分である。
「どっちがいい?」
 目の前で揺れる二つの酒瓶の中身はまだたっぷりと残っており、嫌な予感が止まらなかった。諦めてため息をつきつつ、適当に瓶を指差した。
「ブランデーか。よしよし」
 どぼどぼと注がれていくブランデーの色は濃く、鼻にきついアルコールが昇ってくる。一口だけ飲んでみるが、胃に辿り着いたブランデーが暴れ回る感覚を覚えた。
「……すいません、きついです」
「おいおい、これくらい簡単に飲めよ。わかったこうしてやる」
 先輩がそういって自分の手元からコップを奪うと、半分近くブランデーを一気に飲み干す。絶対にそうやって飲むものではない気がしたのは、自分だけではないはずである。そして先輩がそのままコップを返してくれるのかと思うと、返してはくれなかった。
「薄めればいいんだよ、薄めれば」
 先輩が取り出したのは烏龍茶、ではなかった。目の前で最悪の光景が流れていく。ブランデーがまだ入っているはずのコップにウィスキーが足されていくのだ。
「……」
「ほら、薄めれば飲めるだろ? もう一気が当たり前だよな?」
 無茶を言わないでほしい。ブランデーでウィスキーが割れるはずない。酒で酒を割ろうということの意味のなさくらい理解してもらいたい。
 ただし、いくらそう思っても、逃げ場はない。周りは絡まれないためにか自分と多少距離を置いているので、助けを呼ぶことも許されない。
 腹をくくり、コップの中に潜む悪魔を一気に流し込んでいく。ただし、悪魔は胃に到達すると同時に、元来た道へと走り出す。つまり、自分の限界である。
「いってらっしゃーい」
 にやにやと笑う先輩をよそ目に、自分はお手洗いへと駆け込むのだった。


ぶっちゃけしてしまうとあんまりブランデー関係ないという
お酒として登場しているくらいですね


ちなみにこの先輩は実在します
お酒でお酒を割るというとんでもスタンスは是非止めてほしい
あれは本当に死ねる

それではー
ノシノシ

お題「選択肢」

2009-05-11 | 00:38

モチベ上げ基金にご協力ください⇒Please Please

お題「選択肢」


 A・撲殺される。
 B・首を撥ねられる。
 C・許婚になる

 そんな選択肢があったら人はどうするんだろうか。恐らく、聞く前から答えは決まっていて、“C”という選択肢以外ないと思われる。だが、ここで俺はあえて“D”という宣言を高らかにしてしまったのだ。

 D・逃げる。

 そんなわけで俺は今全速力で逃避中なのだが、後ろから容赦なく罵声が飛んでくる。俺は特に頭がいい訳でも、金があるわけでも、何かに次元的な特殊能力があるわけでもない。つまり、俺に追いかけられる要素ははっきりいって零、のはずなのだが。ちらっと後ろを振り向くと、長い黒髪と女性的な部分を揺らしながら突っ込んでくる阿呆一名とそのお供たちが見える。お供が非常に怪訝そうな顔をしているのは言うまでもない。
「止まれ! この馬鹿!」
 ひでぇ、と思いながらも、走るスピードは絶対に緩めない。なぜなら、あいつの手元にはロープやら手錠やらというデンジャラス且つ俺の人生終了の鐘を鳴らすであろう素敵道具をたっぷり持っているからだ。
 原因はいたってシンプル。阿呆に手を出してしまった。嫌、変な意味でなくてね。
 阿呆は常に誰よりも権力を振りまきながら学校中を練り歩いていたらしい。らしい、というのは、俺は最近この高校に転校してきたばかりなのだ。そして、昼休みに事件を起きてしまった。俺は一階から、阿呆は三階から、それぞれ二階を目指していたわけだが、二人同時に階段を駆け上がり、同じ方向に足を進めたので、思いっきりぶつかることとなったのだ。そのままお互いにひっくり返ればよかったのだが、阿呆はそのままふらふらとして、俺の文句を言うと居直ったが、階段を登りきった付近でそんなことをしたので、阿呆の顔がじょじょに斜めを向いていく。
 あー、落ちるなぁ。そう思いながらそれを見ていたのだが、落ちていく阿呆の顔が本気で引きつっていたので、つい後先考えずに飛び出したのだ。そして手を取り、無理やりこっちにひっぱったので、今度こそ本当に転倒することになったのだ。ただし、床に転倒したのは阿呆だけで、俺はそのまま階段を転がり落ち、保健室行きの切符を渡されることになったのだ。
 そして目を覚ますと、硬い保健室のベッドの横で、俺の顔を必死に覗き込む阿呆。数センチしかないんじゃないかという距離に驚いていると、阿呆が急に視界から消えた。どん、と音とともに聞こえる小さな悲鳴からすると、椅子から落っこちたらしい。恐らく、俺の目が急に開いたのでそれに驚いたんだろう。阿呆は顔を赤くさせながら、椅子にもう一度座りなおす。
 俺がぽかーんとしていると、ふいに感じる殺気。保健室のドアが少し開いており、そこからいくつもの瞳が見える。俺は一体何をしてしまったんだろう、と思っていると、阿呆が口を開く。
「せ、責任……」
「は? 何だって?」
「責任取るから結婚しなさい!」
 同時に漫画のように保健室のドアを突き破られると、猛者共の群れが俺に襲いかかろうとする。
 地獄の始まりだった。



 自宅付近の公園まで逃げ込み、トンネルをモチーフにしたのであろう遊具の中へと滑り込む。近くでは俺の名を呼び、ついでに罵倒する阿呆のお供が駆け回っていた。くわばらくわばら、と携帯をいじりながら、時が過ぎるのを待っていると、急に周りがしん、と静まりかえった。どうやら諦めたようだと思いながらトンネルから抜け出し、自宅へ向かう。さっさと家に帰って、風呂に入って、飯食って、遊んで、勉強忘れて、寝ないと、と考えながら、玄関のドアを開ける。
 そこには仁王立ちで立っている阿呆がいた。しかも満面の笑みである
 いけない、夢を見ているんだ。夢を。そう思いながら一度ドアを閉めて、深呼吸をしておく。吸ってー、吐いてー、よしオッケー。
 やっぱり阿呆がいる。しかもちょっと怒ってらっしゃる。
「つかぬことを聞くけど、家の母親は?」
 そう、凄く重要なことを最初に聞いておかなくてはいけない。何故こいつがここにいるのか、そして何故家の親は侵入を許しているのか。ついでに危険極まりないお供たちは潜伏していないのか。
「私の別荘に行ってもらったわ」
「……は?」
「だから! あなたの両親は私の別荘にいるのよ!」
「拉致監禁?」
「違うわよ! 今頃バカンスを楽しんでいらっしゃるわ!」
「で、何故ここに?」
「あなたと一緒に住むからよ」
「……何処のギャルゲー展開なんですか」
「何よそれ」
「知らないならそれでいい。俺も知らん」
「じゃあ、よろしくね」
「待てい。ちょっとどころか大分待て。おかしいだろ、頼むから帰れ」
「何で? 私という才色兼備で完璧な女が貢いであげると言っているのに!」
「いい迷惑だから帰ってください、マジで」
「嫌!」
「嫌じゃねーよ! 俺の人権は無視ですか?」
「……分かったわ……じゃあこうしましょう、選択肢を三つ提示するからどれかは選びなさいよ。いいわね?」
「それ分かったって言わないよな?」
「いいから選ぶ!」
 やはり俺の選択権はないようだ。

1・同居
2・死
3・彼氏彼女

 “2”の選択肢は聞き間違いだと信じたい。信じさせて欲しいと懇願するが、外で待機しているであろう、お供の存在を考えるとそれもあながち嘘じゃないらしい。
「ねぇ」
 “4”の選択肢を選ぶべきか悩んでいると、阿呆が俺に人差し指だけを振りながら、俺に聞く。
「これ何本指?」
 俺は酔っ払いかっての。特に何かも考えずに答えるが、それは明らかな失敗だった。
「1…………………………………………あ」
 ガッツポーズをする阿呆と、玄関のドアをぶち破るお供たち。
 あぁ、ドアが壊れたなぁ、ついていけない脳みそがそうとだけ告げていた。
 そして俺は、地獄の閻魔様と付き合うことになったのだ。


ところどころ飛躍しているので、意味が分からん、という声も聞こえる気がします
ただ、こういう文章は書いてて楽しいです
こういうドタバタした乗りが大好きです
ただ、毎回こういうのだと同じ作風のモノばっかになりそうですよね
というわけで今日はこのへんで
ノシ

お題「忘れないで」

2009-05-10 | 00:10

お前に言いたいことがある。そんな方は是非此方へ⇒さぁさぁどうぞどうぞ


お題「忘れないで」



 ――ねぇ、約束だよ
 夢を見ていた。多分、凄く嬉しくて、凄く悲しい夢を。
 ――たまにでいいんだ。本当に
 嗚呼、これは夢なんだ。だから、覚めてしまう。現実は近い。
 ――忘れないで



 小さかった私にはまだ友達が少なかった。今でも私の尾として残っている気がする引っ込み思案が尚酷かったというのもあり、私は学校が終わるとすぐに家に帰ってきていた。家にいるお母さんと学校の話をすることもなく、いつもゴロゴロと怠惰な日々を送っていた。それが親としては私がつまらない退屈している毎日を送っているのだと思ったのだろう。
 とある星の出ている夜のことだった。私が家でご飯を食べながらテレビを見ると、いつものようにお父さんが帰ってきた。いつもであるなら、お父さんは帰ってきてからすぐにお風呂に入るはずなのに、この日はすぐに居間に入ってきた。その手には小さなゲージが握られていて、中で何かがガタガタを揺れていた。
 何だろう、と思っていると、お父さんが私を手招きした。私がお父さんに近づくと、お父さんは何も言わずにゲージを床に置いて、その小さな扉を開けた。
 小さな沈黙が少し生まれた。中で動く何かは外に出てくるのを少し躊躇っているようで、姿を確認することが出来ない。私がそれを覗き込むと、それに合わせて中の何かがひょこっと顔を出した。鼻に温かいなにかが触れる。
 つい小さな悲鳴を上げて仰け反ってしまう。お父さんが笑っている顔が見えて、私は少し不機嫌になる。そんな私の様子を知ってか知らぬか、中の何かが私の足元へと出てくる。
 茶色の毛に、丸い瞳。ぺたんとしている三角形の耳に、ぶんぶんと振られている尻尾。
「……ふぇ?」
 物凄く情けない声を出しながら、私はその存在に目を丸くした。驚いて何も言えないでいると、眼前に突如出現した子犬は私の足元をよじ登ろうとする。ふにっとした感触が気持ちいいようなくすぐったいようなそんな感覚がして、それに耐え切れずに子犬を両手で持ち上げてしまった。
子犬は下を出しながら、確実に私を見ていた。どうしていいか分からず、私がほけーっと子犬を見ていると、子犬が小刻みに震えだす。同時に太ももに感じる温かさ。
「!」
 早速の洗礼のおかげで、私と子犬のファーストコンタクトは最悪で一生忘れられない記憶となった。

 それからというもの、私は家に帰ってくるとすぐに散歩に出かけるようになった。
「いくよー、クツシター」
 クツシタというのは子犬の名前である。ネーミングセンスなどないことは理解しているが、これが一番呼びやすかったのだ。足元の毛だけ真っ白で、さながら靴下を履いているように見えたからだ。
 クツシタは外の犬小屋からすぐに出てきて、いつものように尻尾を振り続ける。まだリードをつけていないのに全力で走り出すので、たまに追いかけっこが始まってしまう。黄色の首輪を目印に私はクツシタを探すのだ。そのせいもあってか、私は近所で友達が出来た。たまたまクツシタが迷い込んだのが同学年の友達だっただけなのだけど。

 それから私は毎日クツシタと時間を過ごした。
 一緒に時を過ごして、一緒に大きくなった。私がもう大学生になって、サークルにも入って、友達もたくさん出来た。
 大切で、楽しかった時間は瞬く間に過ぎる。
 唐突に、本当に唐突に、別れは来る。

「クツ……シタ?」
 年ということは分かっていた。足を引きずっていることも分かっていた。獣医さんからもう短いということも分かっていた。
 でも、朝に、クツシタが急に動かなくなったら。
 私は耐え切れなかった。

 その日の夜、私は夢を見た。
 誰かの声が聞こえる夢を。それが誰の声なのか、私にはよく分かっていた。
 きっと空想で作り上げた声であることに違いはない。それでも、その声はきっと……
 そこまで思った所で目が覚めた。時刻はまだ夜中の二時過ぎである。もう一度寝てしまおうと思い毛布を頭からかぶってみるが、眠気は飛んでしまっていた。自分の中にあるもやもやが取れず、水を飲もうと私は台所に向かった。そこで何かを聞いた。
 クツシタの声?
 私が思わず玄関へ向かった。靴の踵を潰しながら、夜中だということも忘れて勢いよく扉を開けて、犬小屋へと走った。でも、そこには何もいない。分かっていたのに、と思いながら肩を落とした。でも、それと一緒に背後から同じ声がする。振り向くと、何処かに走り去る何か。一瞬だけ分かったのは、その何か足元が白かったということ。
 どん、と心臓が揺れた。私は急いでその後を追う。でもすぐにそれを見失っては、また足元だけが見える。それが繰り返される内に、私は一つ思い出す。
 クツシタは追いかけっこが大好きだった。追いかけると尻尾を振って少し私から遠ざかって、距離が離れれるとちょっと止まって、私を待つのだ。そしていつまでも追いかけっこは終わらないので、私が「クツシター」と呼ぶのだ。そうすると、クツシタは急に方向転換をして、私の所に飛び込んでくるのだ。
「ク……」
 声が震えていたに違いない。喉がからからに渇いて、声がかすれていた。それでも、その名前を呼ぼうとした。
 一度大きな深呼吸をして、初めての友達の名前を呼んだ。
「クツシタ、おいで」
 私は震えていた。耐え切れなかったからだ。
 クツシタはそこにいた。そこに来てくれた。
 いつもと同じように、私に飛び込んできた。ただ、その体は青白く、今にも消えかかっている。
 このクツシタが、私の知っているクツシタに違いはない。でも、もうクツシタはいない。それでも、何故かクツシタはいる。矛盾しているかもしれないけれど、これが真実なのだ。もういないはずのクツシタは、別の形で、私の所に来てくれた。
 だから、涙が止まらなかった。
 クツシタはきっと私にさよならを言いに来たのだろう。だから、私もそれに応えなくちゃいけない。わざわざここまで来てくれたのだから。
 最後に一度だけ、ぎゅっとクツシタを抱きしめた。鼻に温かい感触が伝わる。
「さようなら」



 目が覚めた。
 夢? あの温かい感触は、夢? 偽?
 涙が一筋、頬を伝って落ちた。ただ、それは毛布や服に染みることなく何かにぽたりと落ちた。
 それを目で追うと、見慣れた物があった。
 黄色の、何処にでもあるような、首輪。
 息がつまるような感覚。あれは夢であって、夢でなかった。そういうことなのだろう。
 だから私は、今は感じられない温もりを思い出して、その首輪をぎゅっと、抱きしめた。


 さようなら
 クツシタ
 今までありがとう

 ずっとずっと
 忘れないよ



最近30分じゃないですね、まぁいいけど
はっは、上達しているのかわからねぇ

で、今回のSS
多分、長くかけるタイプのお話、と思いたい
よくある子犬とのお話ですね
家にも犬がいるので感情移入して書けるのですが、犬っ子生きているのにそれもそれでかわいそうな気がしますよね
なのでそういう時はたっぷり撫でてやります。ま、暴れるのでそんなに撫でてられないんですがね

それではそれでは
ノシ

2009-05-09 | 00:41

感想意見要望などはこちらへ⇒<一言からどーぞ>


お題「白い花」


 珍しい花があるという話を聞いた。その興味深い内容が聞けたのは、ランチタイムの混雑した食堂の中での一言だった。
「あの白い彼岸花もう見た?」
 隣で話している同年代の友人がそんなことを話していたのだ。その話がつい気になってしまい、どういうことか尋ねてみた。
 聞いた話によると、近くに新しく出来たフラワーショップがあるらしく、そこで店独自の花を売っているとのことだった。白い彼岸花は実際に写真を見せてもらうと、確かに赤いはずの彼岸花が真っ白に染まっていた。
 何故こんな風になっているのか友人に尋ねてみると、返事は「さぁ」としか帰ってこなかった。
 仕事終わりに、どうしてもその実物を見てしまいたくなり、私はそのフラワーショップを訪れてみた。外見はいたって普通で、一見ただの花屋に見える。しかし、中に入ると、そこが異質な空間だということに気づかされた。
 店内はほぼ真っ白。まるで色を失っているかのように、透き通った綺麗な白である。店内に咲いている花は全て白。私がよく家で育てている植物もあるが、こんな色をしてはいない。
「いらっしゃいませー」
 奥から現れたのは一人のおじさんで、髪は綺麗に白く、また、衣服もさも当然のように真っ白である。
「おや、初めてのお客さんかな?」
 人当たりのよさそうな顔でおじさんは私に問いかけてきた。恐らく、私が物珍しそうにいろいろ見回していたからなのだろう。私が頷くと、その人は何度か頷きながら、カウンターから出てくる。
「どうだい? 私の手がけた花は」
「凄く綺麗です。これって全部個人栽培なんですか?」
「そうだよ、私が一から品種改良して、ここまで育てたんだ」
 私が少し視界を動かすと、写真で見た白い彼岸花が見える。近づいてよく見てみても、上から絵の具で塗りたくったような後はない。少し触れてみても、手に色がついたりなどはしなかった。パソコンのペイントソフトで一気に塗り潰すように赤をそのまま白にした感じだ。
「どうして白い花ばっかりなんです?」
「それは私が好きだからさ」
「それだけ……ですか?」
「そうさ。他に理由なんかいらない。私は白一色だけを愛するからね。というより、白と黒しか私には見えないんだ」
「……?」
「モノクロ、といえば伝わるかな。私の目はこの世にあるほとんどの色素を捉えることが出来ない。唯一できるのが白と黒でね」
「……黒は嫌いなんですか?」
「嫌いじゃないけど、白の方がよく分かるんだよ。花の全体とか、花びら一枚一枚のそれぞれ違った形とかをね」
 もし私がこの世界で色を見ることが出来中なってしまったらどうしよう。自分の体の色も、雨がふりだした空の色も、消えていく太陽の色も、全て感じられなくなってしまう。それはきっと、物凄く辛い。
 私が少し困ったような、真剣になっているような複雑な表情をしていると、おじさんが笑いなが言う。
「別にそんなに辛いこともでないよ。慣れてしまえばあまり気にならないものさ」
 その後私は何本かの花を買って店を後にした。家につくと、部屋は暗く、足で何を踏んでいるかも分からない。それでも電気をつければ、部屋の中にある物の色がしっかりと伝わってくる。
 買った花を花瓶に入れて、他の花が指してある花瓶の隣にそれを置く。
 確かに真っ白な花も綺麗かもしれない。すごく珍しい、というのも勿論あることなのだけど。
 でも何故か今日は、そんなもの珍しさよりも、近くにある有り触れた色をしている花が、とても綺麗で、とても愛おしく思えたのだった。


副題:色が見えることの素晴らしさ
という感じのSSです
なんだろう、上達していない気がする
ていうかモチベががががががががががが

ノシ

お題「背中合わせの体温」

2009-05-07 | 00:19

感想意見酷評甘評干瓢はどんどん此方へ⇒<此方にどうぞ>

お題「背中合わせの体温」



「そっちは?」
「大丈夫、何処にもいない」
 二人揃って息を荒くしながら、下に何があるかも確認せず座り込む。頬を伝う汗が首筋と辿り、服の中へと染み込んでいく。腰のベルトにぶら下げてあるボトルを取り出し、中に入っている水を流し込む。
 生きている。俺たちはまだ生きている。
「ったく、このまま帰ったら軍法会議にかけられるな」
「……どっちにしろ、俺たちには死ぬこと以外の選択肢はない、ってことか」
 俺たちが今いるのは森の中。前線から撤退し、奥へと逃げ込んできたのだ。後ろからの恐怖を味わいながら、俺たちは逃げ惑い、ここへ辿り着いた。敵を本当に撒いたのか、それとも、泳がされているのかは定かではない。
「せめて武器でもありゃいいんだが」
「お互い持ってるのはGlockのみ。いくらやっても撃ち負ける。お手上げか」
 本当は互いに武器を持っていた。俺はAK47を、隣にいる仲間は確かSV98を武装していたはずだ。だが、そんな物はとっくに弾切れを起こし、ただのお荷物になっていた。手榴弾も、あるのはスモークだけ。これでは戦い用がない。
 ため息が漏れた。一瞬の気の緩み、その間、爆発音が響き渡る。近くの木にいた鳥が飛び立ち、遠くから叫び声が聞こえる。しかも、一方からだけではない。
「正に四面楚歌」
「みたいだな」
 覚悟はあった。だが、いざ死へ直面すると、震えは止まらなかった。
 二人揃ってGlockのセーフティレバーを外した。後は引き金を引くだけだ。背中を仲間の背中と合わせ、お互いの顔が見えないようにする。
 こつん、と音がした。銃口が額に当たっていた。
「どうするよ。この方がいっそ楽か?」
「言えてるが、引けるか?」
「はは、無理、か」
 乾いた笑いが漏れた。どうせ俺たちにはそんな勇気すらない。
 仲間の体温はまだそこにある。まだ、ここに生がある。
 だが、それももうじき消えてしまう。俺たちの視界にはそれぞれの敵が写っている。向けられている銃口は寸分の狂いもなく頭を撃ちぬく。
 敵さんの怒号が響く。一斉に響き渡る発砲音が耳を劈いた。
 ゲームオーバー。



「っしゃあ、俺たちの勝ちー」
「負けた負けた。お疲れ様」
「っていうか二人そろって最後の最後で何かっこつけてるんだよ。ずるいぞ、それ」
「一度やってみたくてさ」
 さっきまでの出来事はサバゲーの一コマである。
 人間雰囲気だけで意外とそれっぽく演技が出来るらしい。
「よっしゃ、二回戦目やるぞー」
「了解―」
 ゲームリスタート


用語説明
Glock:ハンドガン
AK47:アサルトライフル
SV98:スナイパーライフル
特に使用しなかったので思いつくのを勝手に使いました。実際にモデルガンとして出てるかは不明(ぁ

そして出来がひどい
こういう関係はもう少し知識がないと面白くないなぁ
以後を気をつけます。

通常更新~GWはやはり暇なのか?~

2009-05-03 | 22:00

こんばんわ
シロです




ひさびさに何もなく始まった気がします
では、普通の更新参りマース

一つ目ー
お題小説について

がりがり書いてますよアップしてますよ米がねぇええええええええええええええええええええ
寂しいなぁ……恐らく一番の原因は小説が面白くないからなんでしょうが
ランキングとかにでも登録してみようか思案中
で、今日二つアップしましたが、実は一個飛ばしているお題があります。「SIGN」というお題なんですが、此方の方はちょっと長引くため、裏で書きつつ、出来上がったらアップします。お楽しみにー

二つ目ー
サイトについて

しばらく見ない間におかしなことになってないかな? 背景画像が勝手にいろんな表示になっていたり

あれかなぁ、FC2だからなのか。それとも腕未熟故か
一回ネットから身を引けという暗示か(ぁ
ただ、最近はお題小説がメインになってきているので、ブログで続行orそれようのサイトもしくわブログを作るべきかな? 

三つ目ー
Findesemanaについて

なんぞそれ、という方はお楽しみに
混沌を軸としたネットサークルです
サイトの方を地味に作っています。そう地味に
技術の低さを露呈しているようなもんですね、はい
で、企画をまだ何も決めていない
さ、何すっかなー(ぁ

四つ目ー
ドリームジャック

栄さん、返信忘れててごめんさささささささい
早く企画書作らないとなぁ、てへっ☆

五つ目ー

じゃあ、雑談でもしますかぁ!(ぁ

こないだ千円以上かけて江頭の石膏を落としました(ぁ
押すと、ドーンと叫びます。神の化身ですからね、この人
以前とったクゥガとアギトの隣で微笑んでおられます
な、なんて神々しい!(ぇ



六つ目
カラオケ行きたいGW中暇だぁ嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああああああああああああ
腐るよ、このままだと俺腐敗するよ!
誰かイベントかなんかに誘え!(ぉぃ
そういやこないだ某ショッピングモールに行ったら、ピアノの生演奏で蕾をやっていました。綺麗でしたよ、音。やはりピアノはいいですよね


七つ目
そろそろ書くこともないし、みんな飽きたんだろ? どうせ(ぁ

さ、終わり終わりっと
まったねー
ノシ

お題「蜃気楼」

2009-05-03 | 17:53

落ちが甘い……(三十分では終わらず一時間でやってみた
というか、んー、もう少し印象に残るような落ちにしたかった
努力不足が露呈

お題「蜃気楼」


 人の心を写す場所がとある学校の近くにあるという。そんな話を聞いたのは大分昔の話で、そのときはそんな物馬鹿馬鹿しいとしか思っていなかった。

 空から降り注ぐ放射能のせいで俺たち人類はいつのまにか密封されたドーム状の人工的な空間の中でしか生活することが出来なくなっていた。他国に行くための施設はもっぱら地下鉄道ということになる。空を飛ぼうものなら飛行機から降りるころには体の色が変色していることだろう。
 人間とはここぞと言う時にはそれこそゴキブリなみの生命力と、神にでも取り付かれたような精神で、今の今まで生き延びてきた。だから、今もそうなのだろう。宇宙に人類が飛び出して、核エネルギーが当たり前に使われ始めた矢先、突如臨海事故が発生した。放射能から難を逃れた人々は被害が及ぶ前にドームを形成した。じょじょにドームは巨大化し、気がつけば一国それぞれのドームが全て完成していた。それから数年もしないうちに国同士を繋ぐ地下鉄が完備。言い方としては最低だが、結局人間は、何かを失うと何かを手に入れられるらしい。でも、人は何かを自ら失おうとはしない。そんなのは真性のマゾヒストだけで十分だ。
「……」
 目の前で寝る人がいる。白一色に近い一室で、ベッドに仰向けで寝て、口元は少し湾曲していた。
 触れてみる。冷たい。
 囁いてみる。声は返らない。
 微笑んでいるその人は、二度と言葉を話さない。話せない。
 つい先日まで温かかったその頬は色失っていた。部屋を通り抜ける風がその人の髪をなびかせた。
 俺はただずっと、その頬に手をあてていた。その人が急に動き出して、“何してるの?”と言ってくれるのを待つように。
 だが、現実は非常である。
 体の細胞が破壊しつくされた体では、どうあがいても人間は生き残れない。臨界事故の犠牲者は、成す術もなく息絶えるしかない。それも、安らかにではない。苦しみ苦しみ、一かけらの希望も見出せぬまま、深い闇へと落ちていかなくてはならないのだ。
 だからせめてものために、俺は思い出を作ろうとした。歩けるところには行った、面白そうな映画を一緒に見た、評判の店に外食に出かけたりもした。
 その人は俺に言う。「ありがとう。ごめんね」
 その人は俺に言う。「一緒にいたいのに」
 その人は最後に言った。「でも、出会えてよかった」
 涙というのは実際に枯れるものだと同時に俺は知った。そして、泣きたいのに泣けない自分に腹が立ってしょうがなかった。その人が今いないのに、その人が消えてしまったのに、泣けない。涙が出てこない。それが逆に悔しくてしょうがなかった。その人への想いは、たったそれだけだったのかと。
 
 それから、何日が過ぎたのだろう。傷は癒えぬまま、日々は無常にも過ぎ去っていく。俺はもしかしたら忘れてしまうのだろうか。その人と確かに過ごした一日一日を。積み上げた記憶が砂になって、音も立てずに崩れていく。人とはそういうものだ。所詮、その程度だ。大切なことを忘れてしまうような、そんな最低な生き物だ。
 ある日、俺はその人との思い出を整理していると、変な物が一つ出てきた。一枚、なんでもない写真だ。その人に写真を撮る趣味などはないし、こんな場所に一緒に行ったこともなかった。裏を見ると、小さな赤い文字で何かが書かれていた。
 “蜃気楼”
 それだけである。他には何の文字もない。ただ、写真の一部に写りこんでいるものに見覚えがあった。それは昔通っていた小学校の裏手にあった大きな杉の木である。看板の端っこが写っているので間違いはない。その場所のことを思い出すのと同時に、過去に聞いた逸話が浮かんでくる。
「自分の心を見れる場所、だっけ?」
 何故その人がそこに行ったのかは知らないが、少し自分の胸の中にちくりと棘が刺さった。その人がどうして俺にここのことを内緒にしていたのだろうか。
 一度考え始めると、頭の中はパンクしようになるくらい色んな過程がぐるぐると回り始める。俺は気が狂ってしまわないうちに、実際にそこに行ってみることにした。部屋の整理を放り出し、外へと飛び出す。
 もしかしたらそこに、そこにいけばこの棘が取れるかもしれない。でも逆を言えば、棘はそこで爆散して、もう元に戻らぬまで俺の心を吹き飛ばすかもしれない。その人が、俺ではない誰かのために命を削ってまで会いにいっていた。俺の身勝手で、勝手な妄想。それでも、そういうことがあったかもしれない、そう思うだけで、どうしても耐えれなくなった。
 あの時見た笑顔も、涙も、言葉も、全て偽りだったのか?
 負のスパイラルが最高潮に達したころ、俺はその場所へと辿り着く。写真を取り出して確認してみると、やはり大きな杉の木があるし、看板も写りこんでいる。

 ただ、一つだけ違う点があった。

 その人が、そこに立っていたのだ。

 言葉を失った。
 その人が微笑んで、此方に元気よく手を振っていた。車椅子にも座らず、二本の足でしっかりと立って、両目を開けて俺をしっかりと見つめていた。
 俺が動けないでいると、その人はゆっくり口を開いた。でも、何を言っているのか、まったく分からない。声が届いてこない。でも、そこにいる。だけど、声は伝わらない。
 どうしていいかも分からず、ただ、救いを求めるように、手を伸ばした。その人に触れたい、ただ、触れたい、それだけの一心だった。その人の微笑んでいる頬に触れた瞬間、その人の姿が消えた。霞に消えていくように、何事もなかったかのように、その人が唐突に消えた。
 そこにいたはずなのに、そこで何かを喋っていたはずなのに、目を離したつもりはなかったのに、もういない。姿は消えてしまった。
 そして、同時に思い知らされる。あの写真の裏に書いてあった言葉の意味を。
「……全ては幻」
 蜃気楼。ドームの形状が何かの原因で歪み、光を異常に集めることがあり、ドームの端ではよく起こることでもある。よく砂漠などでは、先にオアシスの映像が見えてしまうという。ただ、これは実際にオアシスがあるから見える現象だ。人の思い込みだけでは写らない映像のはずだ。
 天国の映像でも、ここに写すのだろうか。それとも、単純に俺が思い描いただけなのか。俺は頬から流れ落ちる涙にも気づかずに、帰路を辿っていた。
 アパートにつくと、ポストに一通の手紙が入っていた。届け人は、その人だった。
 部屋に戻って封を開けた。
”お元気ですか? この手紙が届くころには、私はもうあなたの隣にいないんですよね”
 その人は、これをどんな思いで書いたのだろうか。届けられた日を見ると、その人が眠りにつく前日だった。ペンを持つことすら辛い状況だったはずだ。
“私のことを忘れて生きてください。なんて言ったら、あなたは怒ってくれますか? もし怒ってくれてたら、ひどい話ですけど、私はちょっと嬉しいです”
 ぽたぽたと、手紙に涙が落ちていく。
“後、ちょっと嫌な予感がしちゃったので書いときます。一枚、変な写真があったと思うんです。もし、あなたがこれを見て、何か嫌な思いをしてしまうかもしたなら、それは本当にごめんなさい”
 その人は、俺のことを、俺以上に分かっていた。だからこそ、こんな手紙を書いたのだろう。
“その写真の場所で、蜃気楼が見れるんです。ただ、それもちょっとおかしな蜃気楼が。私はそこで自分とあなたを見ました。一緒に手を繋いで、二人でずっとずっと歩いているのを。それが忘れられなくて、つい写真に撮ったんです。馬鹿ですよね、写るはずなんかないのに”
 じゃあ俺も馬鹿なんだろう。俺もそこでその人を思い、その人を見たから。
“本当にあなたと出会えてよかった。もし出来るなら、次の世界でも出会えますように”
 手紙の文字が見えなくなるまで泣いても、涙は枯れなかった。
 恐らく、蜃気楼はもう見えないだろう。幻は潰える。

 でも

 もう涙は、枯れない。
 想いは二度と揺らがない。
 その人が俺を想うように……

お題「子供のような恋」

2009-05-03 | 17:52

副題:ノリトイキオイ(ぁ

お題「子供のような恋」



 ある日、彼女が口を開いた。それはもう俺が予想しないような言葉を言うために。
「子供のような恋がしたいなぁ」
 すいません、俺の存在はがん無視ですか? あなたの隣にいる俺は何なんですか?
「いやぁ、あれじゃん、子供って素直じゃない?」
「俺は素直でないと?」
「うん。なんかこう、あんたは変な精神の塊みたいな。性格が綺麗に九十度ひん曲がってる気がするのよ」
「……俺の評価めっちゃ低いなぁ」
なんかこう、今まで何も知らなかった人が、それは当たり前だよお前馬鹿だろ? と笑われているような感覚だ。非常に気分はよくない。
 大体、子供のような恋って何なんだろうか。子供は素直ではあるが、それ故に残酷な一面もある。例えば、蟲の羽をちぎったり、友達を平気で罵ったり、大人ならしないような行動を多々する。それの何処がいいのだろうか。まさか母性本能が擽られるからとか言うんじゃないだろうか。だとすれば俺は子供っぽく振舞えばいいのか? それはうざすぎやしないか。
「素直だし、小さい子は可愛いしさぁ」
 あれ、ちょっと待ってくださいよ。彼女様にいつのまにか新属性が付こうとしているんですが、気のせいですか?
「ショタコン?」
「うん」
 ビンゴ、あんど、アウト。俺と無縁の属性が大好きだとすると、俺はこれから捨てられる運命なんだろうか。
「保母さんにでもなればいいんじゃないの」
「無理」
「何故」
「だるい」
「小さい子は?」
「大好き」
「働くのは」
「めんどい」
 何様だあんたは、という言葉を必死に飲み込んでおく。彼女はニート志望だったか、いや、違ったはずだが、と情報整理をしてみる。あ、思い出した、希望職は確かフリーター。
「……いや、ダメだろ!」
「?」
「あ、こっちの話」
 どうにかして彼女を清く正しい道に戻してあげないといけない気がするのだが、少し手遅れ感も否めない。
「まぁ、あれだ、落ち着いて話そう。結局何が言いたいの?」
「子供のような恋をしたい」
「だから、それは具体的には?」
「知らない」
「は?」
「ただ響きが好きだから言っているだけ」
「……」
 はい我慢の限界でーす。どーん。
「いい加減にしろぉおおおおおおおおおおおお!!」
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